校長挨拶

岡部 隆明元テレビ朝日人事部長、キャリアコンサルタント)

今こそ、「真のマスコミ人」を育てたい

 ロシアのウクライナ侵攻では、市民がスマートフォンで撮影した生々しい動画が、瞬時に世界の人々に共有されました。戦地ですら、誰もが時間や場所を選ばず発信できる時代になったのです。

 しかし、そこには多くの危うさが潜んでいます。SNSで拡散が繰り返されるフェイクニュース、発信元がわからないことをいいことにネット上に書き込まれる誹謗、取材もせずに憶測だけで書かれたゴシップ記事…。巷に溢れる情報の中には「悪意」が潜んでおり、その信憑性を見極めることは容易ではありません。

 問題意識をもって緻密に冷静に取材し、正確で分かりやすい記事を書く。これは誰もができることではありません。また、自分ひとりでできることでもないのです。

 さまざまな価値観が入り乱れた昨今の「コンテンツラッシュ」の中で、「発信する者」には独自性が求められています。「他者のコピー&ペースト」ではなく、「無から有を生み出す」能力をどうすれば磨くことができるでしょうか。

 長年、市民の声を代弁してきた新聞・出版・テレビ・ラジオの既存メディアには歴史に裏打ちされた信頼性、記者やアナウンサー、ディレクター育成のノウハウが詰まっています。「信じられない時代」だからこそ、確かな情報を伝え、人々が楽しめるコンテンツを提供するマスコミ人の存在が不可欠です。

 このたび、「真のマスコミ人」を育成したいとの思いをもつマスコミ有志が集まり、立ち上げたのがこのマスコミ就職アカデミーです。わたしたちは長年、大手メディアで働いてきた「プロ」ばかり。マスコミ人の卵を産み、育て、一人前にしていく術を知っています。

 私はテレビキー局の人事担当を長年、務めてきました。その間、20万人以上のマスコミ志望者と接してきました。どういう学生が採用されるのか、その全てを熟知しています。

 また、本アカデミー講師には大手新聞社・出版社の記者・編集者や、テレビの一線で働く現役・OB社員らを連ねています。彼らは取材や文章表現のプロであり、学生諸君に伝授する最高の技術を有しています。

 本アカデミーの最大の特徴は、オンラインを活用したマスコミ就職セミナーであることです。大都市圏だけではなく、地方在住の学生諸君にもマスコミ就職への活路をひらきたい。そう強く思っています。

 もっか変化の渦中にあるマスコミ業界ですが、これほど魅力的な仕事はないと自負しています。長い人生において、どの業界にいようとも、「自分の言葉」や「想い」を的確に表現できればこんなに楽しいことはありません。

 次代のマスコミ界を担うみなさんが、本アカデミーでの講師陣との出会いと研鑽を通じ、メディアの世界に羽ばたいていくことを願っています。